過去最大級の台風19号は日本各地に大きな爪痕を残しました。
71の河川で決壊が起こり、現時点で死者82人、行方不明11人、けが395人だそうです。
こうした大きな被害を受けている国は世界各地にあります。
そして、これだけ科学が発展してきたのですから
当然、台風などの熱帯低気圧をコントロールできないかと考える人もいるわけです。
それでは、台風の仕組みから、台風抑制計画の歴史を見ていきましょう。
台風制御の前に仕組みを簡単に
1.熱帯の海上にいったん空気の渦ができると、渦の中心に向かって、多く水蒸気を含んだ空気がまわりから流れ込みます。そして、上昇気流が生まれます。
2.雲が作られ、雲は背高く成長して積乱雲にまで発達します。雲のできる過程で、水蒸気が水粒に変わります。
そのとき、非常に多くの熱を放出します。その熱がまわりの空気をあたため、上昇気流はさらに強まります。3.これが繰り返されていくうちに、小さな渦は大きな渦にまで発達します。
これが熱帯低気圧の発生です。熱帯低気圧が発達すると台風となります。
同じ熱帯でも、大陸には熱帯低気圧はできません。これは、海から放出される莫大な水蒸気が台風のエネルギー源であるからです。引用:tenki.jp
台風制御計画 最初の試み
熱帯低気圧をコントロールしようとする最初の本格的な実験は、アメリカ陸軍通信隊と海軍調査所を中心とした 「巻雲(cirrus)計画」で、昭和22年10月13日、フロリダ半島のマイアミを襲ったあと太平洋を北東進しているハリケーンに対して行われました(図1)。
引用:ヤフーニュース
台風の人工制御 原子爆弾による制御
太平洋戦争で原子爆弾が使用されると、そのエネルギーのすざましさから、昭和21年に「原子爆弾による台風制御の可能性に関する予備的報告」という論文が書かれています。
引用:ヤフーニュース
しかし、原子爆弾の威力が凄まじいものでも、台風のエネルギーの100分の1位くらいとわずかなもので、台風の進路を変える可能性がある程度。
それどころか、放射能汚染など大きすぎるリスクがあるため、原爆による熱帯低気圧の制御難しい話となります。
台風制御 人工降雨の応用
台風を人工的に制御する為に目をつける点は二つ
- 熱帯低気圧は地面との摩擦等によって常にエネルギーを失っていること
- もしエネルギーの補給がなければ、1日位で消滅してしまう。
しかし、海面付近の温度を下げたり、海面に膜をはるなどしてエネルギー供給を減らすことは、事実上できません。
そこで熱帯低気圧を人工的に制御する方法として研究が進められているのは、人工降雨の技術を使い、早めに雨を降らすことでエネルギーを奪うというもの。
具体的には、水蒸気が中心付近に達する前に、飛行機でドライアイスやヨウ化銀などを散布することで、大気中に多量の小さな氷の結晶(水晶核)を作って、早めに雨を降らせてしまう方法が考えられています。つまり、人工降雨の方法の応用です。
引用:ヤフーニュース
台風制御 初の成果
悪戦苦闘であった熱帯低気圧の制御計画が最初に成功したのは、昭和44年のハリケーン「デビー(Debbie)」に対しての実験です(図3)。
8月18日、プエルトルコの基地から、ヨウ化銀の人った散弾筒を積んだ飛行機5機と、観測器を積んだ飛行機8機が、約1000キロメートル先のデビーに向かって栢次いで飛びたっています。
散弾筒は、デビーの眼の壁の外側の雲にヨウ化銀の煙をまき散らすために投下され、高度約1万1000メートルで爆発しています。
実験の結果は、デビーの最大風速が毎秒50メートルから35メートルへと、30パーセントも低くなっています(図4)。
引用:ヤフーニュース
しかし、以後、台風制御の技術の進歩はあまりありません。
その理由は他にあったのです。